冷たい雨に咲く紅い花【前篇】
「やっぱり、お兄ちゃんかー。拒否って?何かダメ出しされた?」
う……
「カ、…カレ…シ?」
ごにょごにょ、と小さな声で呟く。
な、なんか…
言葉にすると、照れる!
「え?なに?聞こえないよ、ミオ…」
カララン、
世菜の言葉を遮るように、店のベルが鳴った。
「いらっしゃいませ」
世菜と私の声が重なり、お客様を迎える。
ーーが、
来店した人影に、私は息を飲んだ。
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