冷たい雨に咲く紅い花【前篇】
ー紘夜ーそしてー実織ー
† ー紘夜ー †
「静音、実織は?」
広間の奥で、
飲み物を準備する静音を見かけ、俺は呼び止めた。
「紘夜様。実織様でしたら、夕綺様がお連れになるはずですが」
「夕綺が !?」
静音の言葉に、
鼓動が
嫌な音をたてて響いた。
その鼓動を合図に、
俺は駆け出した。
「紘夜様 !?」
呼び止める静音の声にも振り返らず、
走る速度を速めた。
嫌な、
予感がする。
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ー紘夜ーそしてー実織ー