冷たい雨に咲く紅い花【前篇】
「後は自分で出来る。お前は部屋に戻れ」

「でも、まだ脚の手当てがー…」

「いいから、戻れ!」


紘夜の怒鳴り声に、
体がビクッと、なる。

怒鳴り声なんて、ジュン兄で慣れてるはずなのに、



なんだか、

紘夜の声が、哀しくて
瞼が熱くなった。





私は部屋を飛び出し、廊下を駆け出した。


知らずに、

涙が溢れる。



気付いて、涙を拭おうとした、
その掌が、


紘夜の血で


紅く染まっていた。



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