ほら、笑って笑って

その後、常務からの連絡は無かった。



結局そんなもの。


愛してるなんて嘘。


きっと、私との関係を切る事が出来て、内心ほっとしているかもしれない。







そんな事ばかり考えて、一週間が過ぎた頃。




「ねぇ優衣、知ってる?」


「何を?」


「川野先輩、辞めるらしいよ。」


「え?なんで?」


「…さぁ?突然の事でよく分からないらしいの。
仕事の引き継ぎなんかも出来ない位、急な事らしくて。
実家で不幸でもあって帰る事になったのかとか、色々噂は出てるけど。」




……川野先輩。


なんだか嫌な予感がした。


だって川野先輩は、社内新聞を見て青ざめていたから。


< 35 / 304 >

この作品をシェア

pagetop