ほら、笑って笑って
「ありがとうございます。私、不倫なんて最低な事してたのに。」
「まぁ確かに。でもユイちゃんは、ちゃんと別れるって決めてくれたみたいだし、俺はわざわざ姉貴を悲しませる様な事はしないから安心して。」
そう言ってハヤトさんは、優しさに満ちた笑顔をくれた。
「それに、ユイちゃんみたいな可愛い子が、都合のいい女なんてやっちゃ駄目だ。ちゃんとした恋愛した方がいい。」
「…はい。本当に申し訳ありません。」
可愛い子なんて言葉に嬉しさを感じながらも、ハヤトさんの言う通りだと反省する。
分かっていたけれど、やっぱり不倫なんてよくない事なんだ。
これからは、周りに迷惑かけない様にならなくちゃ。
そんな風に考えていたら、
「はい。これどうぞ。」
と、名刺を渡された。
「それ、俺の名刺。また今度コーヒーでも飲みたくなったら連絡して?」
ハヤトさんはそう言い残すと、爽やかな笑顔で去って行った。