センチメンタル自販機
普段は最寄り駅から自転車で二十分と少しの道。

サドルの上からの風景は、ただただ流れていくばかり。

今日みたいに、あちこちへと目を走らせる機会なんてほとんど無かった。

こうしてみると、随分と色々なもので溢れていたことに気付く。

例えば、今あたしの目の前に並ぶ三台の自販機。

特に風雨の対策も施していないためか、所々薄汚れたこれらの自販機は、アンティークという言葉を連想させる。

──最も、ただ言葉を連想させるだけで、希少価値なんてものが無いのは傍目にも明らかだけど。

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