センチメンタル自販機
「こーはいちゃんっ」


いつもの自販機群を通り過ぎようとしたところで、後ろより聞きなれた声をかけられる。
それは、あたしの呼称。

たしか、一回は互いに自己紹介をしたはずなのに、なぜか定着したのは関係性を表す名前で。

だからといって、別に不満があるわけでもなく。

ただ、高校に入って以来、直帰部(単独直接帰宅部)の自称エースであるあたしにとって、先輩後輩という付き合いは、とても新鮮だった。

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