Au Revoir―再会―


「潮の香りがする」


「えっ、そりゃ海だもん。潮の香りくらいするよ」


「いや、そうだけど。
ここの海と俺たちが育った海とは、潮の香りが違うような気がするんだ」


「そう?同じじゃないの?
7年もこっちに住んでるけど、そんなこと気にしたこと一度もないよ」


しゃがんで、海水に手を伸ばす。


「いや、海面の温度とそこに棲息する生き物たちによって潮の香りにも若干違いが出てくると思うんだ。漁場が違うようにさ、」


うーん、どうなんだろう。

その辺のことはよく分からない。


ただひとつ言えるのは、あたしたちの育った海は太平洋で、ここは瀬戸内海だということ。


ザッパーンと大波が押し寄せる広大な太平洋とは違い、ここは穏やかな浅瀬だ。


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