私の小さな物語
――――――――――――――――――――――――
俺は窓から彼女の背中を見つめていた。
それしかできないから。
後ろで美羽が何か言ってるけど耳には入らなかった。
俺は携帯を取り出してある番号にかけた。
『……もしもし』
電話口から聞こえてくる不機嫌な声。
「俺、フラれちゃった」
『は?相沢に?』
「ううん」
彼女はもう俺のものじゃないらしい。
「奏」
俺の隣に、奏はもういない。
メニュー