謝罪人 Kyouko スピンオフ小説
その後、拓也は、さまざまな謝罪の仕事をした。

子供のけんか、隣近所の苦情の処理など、どこでもあるようなもめ事の仕事だった。どちらかが素直に謝れば解決できることなのに、なかなかそれが出来ない。

そのため謝罪人の拓也が必要とされた。
今の人間社会は複雑であることを、拓也は仕事をしながら実感した。

拓也が相手に謝罪すると、不思議と鬼のような怒りの表情の相手も柔らかい表情になってくる。
そして、一瞬にして険悪な相手のことを許す気持ちになる。

拓也自身も、どうしてそんなことになるのかわからなかった。
だが、客からは、もめ事の仲裁役として感謝されることに悪い気持ちはしなかった。
 
やがて、拓也の仕事も軌道にのり収入も増えて生活の方も安定した。

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