謝罪人 Kyouko スピンオフ小説
拓也は、社長と専務の睨みと記者達の声から逃げたい気持ちが誘った。
そう思った瞬間、拓也は席を立ち上がった。

再び記者達は拓也に注目した。
社長や専務も睨むように拓也を見つめた。

「このたびは、皆様にご迷惑をおかけしまして、誠に申し訳ありませんでした」と、 拓也は、大きな声で謝罪をして記者達の前で深く頭下げた。

拓也は、せっぱつまった状況と、どうにでもなれという気持ちが起こした行動だった。
頭を下げている間、このまま謝罪会見が終わってほしいと拝む気持ちだった。

すると、ざわつくような音が聞こえてきた。

ゆっくりと頭を上げると、一斉に記者達が会場の外を出て行く姿が見えて静寂になる。

拓也は、何が起こったのか、わからずにあ然と立ちつくした。

「終わったね。お疲れ、謝罪人さん」
社長が、強張った表情が崩れて笑顔で言った。




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