『さよなら』は言わないよ。
過去

目を瞑るといつの間にか、眠りに落ちていた。

―――――
―――――――

昔の、過去の夢を見た。

私と彼方が出会った、あの日の夢を。



高1の私はある日、図書室に借りていた本を返すのを忘れて放課後、本を返しに図書室に行った。

「ハァ……ハァ……着いたぁ~、疲れた~。さっさと返そう。」

―ガラッ

シーンと静まり返った図書室。

「図書委員、居ない。遅かったか。」

など言いながら本を棚に返す。

「これと、これがここで~。これは、奧か。」

最後の一冊は奥の棚にあるから行くと、1人の男子が本を顔に置いて寝ていた。

ウルフカットで茶色の髪の男子。

邪魔だなぁ~。

男子の寝転んでいる場所が、最後の本を返す棚だった。

様子を見ても一向に起きる気配がないので、私は声をかけた。
< 10 / 49 >

この作品をシェア

pagetop