年下の悪魔
接吻
その日は特に会話もなかった。

涼君はお風呂から上がった私を抱く事もなく、私が髪の毛を乾かしてる間に、交代するように涼君がお風呂に入り

顔を合わせ辛かった私は、さっさと布団に入った。

いつもなら
ちょっとした談笑をするのに、あまりの困惑さに話す気すら起こらなかった。

最近、GWの急がしさでロクに寝てないし、明日は遅出出勤だからこのまま寝ても問題はない。

涼君と顔を合わせる前に、熟睡出来た。






その日を境に、涼君との間の空気は一変した。

優しくしてくれるのは優しくしてくれる。

でも、ふとした瞬間、何故か機嫌が悪くなったり急に怒ったり。

私は、そんな涼君が何処かしら恐かった。

怒られてる理由がわからないからだ。

「何でそんなに怒ってるの?」

「別に怒ってないです」


そんな会話の繰り返しだ。

体を重ねても、こっちが食われてしまいそうな勢い。

けど、そんな不安や恐怖も涼君と別れた後は消え去る。

また元彼を想ってしまうからだ。

元彼を思い出すだけで不思議と私の心は安らいでいた。

体は涼君、心は元彼。

何とも器用に最低な事をする女だなと自分で思う。

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