年下の悪魔
「ただ、お願いが…」


「な、に…?」


「切らないで下さい、俺のこと…」




私の肩に額をもたれさせて力無く告げられた。

まるで小さな子供みたい。

「切らないでって…、それじゃ…」

「本当は元彼と復縁なんかして欲しくないです。でも、ゆいさんが幸せになれるなら俺は身を引きます。けど、今だけは切らないで下さい」



今にも泣き出しそうな声。



さっきまで、私のこと抑え込んでた癖に、今はまるで子供みたいだ。



どうしよう、可愛い。





でも、叶わない恋をそばに置いておく辛さを涼君は知らないんだよ。





こんなに、想ってくれてるのに



この手を掴めれば幸せになれるのに






何で取れないの?




どうしてこんな時にまで






私、元彼の事ばっかり考えてるの…?



「ごめん。私…受け止め切れそうにない。勝手な事言ってごめん。でも、私どうしても涼君をそーいう風に見れない」

「でも、それでも俺は…っ!」


「元彼への気持ちは変わらないの!ごめんなさい…私もう無理だよ…」






















終わった。と思った。

最低な事ばっかりしてた私に罰が当たったんだと思った。


愛してる人に愛されない事より


愛せもしない人から愛される事の方が辛かったからだ。






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