マイ・スペース
3 腕まくら

「お邪魔しまーす」

いつ来ても変わらない部屋。

綺麗に並んでいる食器、廊下に干してあるTシャツ、そしてアロマのにおい。


カエデ、と呼ばれて振り返るとキスされた。

ギュッで抱きしめられて「やっと来てくれた」と言ってくれた。

ちょっと前の私なら照れてしまっていただろう。

だけど今の私はそんな安っぽい言葉じゃ、心は揺れないのだ。

ほんと、何様なんだか。それでも一応「会いたくなっちゃって」と言っといた。レナとマコが聞いたら爆笑しているだろう。

彼はその言葉に満足したのか、お風呂をすすめてきたので、私は到着早々シャワーを浴びた。



 
< 11 / 188 >

この作品をシェア

pagetop