RUN&GUN
「じゃ、やっぱり次も懐に入る必要があったら・・・・・・」

みるみる藍の顔が蒼くなる。

「ら、藍さん、落ち着いて・・・・・・」

藍の蒼ざめかたが尋常でないので心配になった与一が、藍の肩に手を伸ばす。
が、与一の手が届く前に、藍は勢い良く膳を飛び越えて、与一に飛びついてきた。

「やだぁ~っ! よいっちゃん以外の男に、そんなことされたくない~っ!」

「さっき、接吻は好いた者同士でやるもんだって言ったじゃないですか」

ぐりぐりと与一の小袖に顔を押しつける藍を、引き剥がそうともがきながら、与一は冷めた声で言った。

本当に、顔色といい言うことといい、どこまでが本気なんだか。

「そうよ。だから、よいっちゃんなんじゃない」

与一の小袖をがっちりと掴み、顔を上げた藍が、当たり前のように、与一を見上げて言う。
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