Real Love...?





こんなにも辛いなんて
私は思っていなかった。





私の彼氏だった
翔くんはもういない。







屋上へと続く階段を駆け上がると
勢いよく扉を開けた。





私はフェンスに体を預けると
声を押し殺して泣いた。









扉が開く音が聞こえ
振り返るとあの人が
息を切らして立っていた。













「……翔くん…どうして?」


「泣いてんのか?」














私は涙を拭って言った。


「泣いてないよ…。」











気づかれない様に下を向くと
私の頭に何かが乗った。












「泣いてんじゃん…。」










「翔くん、どうして…?」








すると意外な言葉が返ってきた。





「わかんねぇけど
気づいたら追いかけてた。」









覚えてなくても気にしてくれた。


それだけで私は嬉しかった。










「春…ごめんな。」







まるで記憶を失くす前に
戻ったようだった。




首を横に振る私の頬には
一粒の滴が流れた。









「泣くなよ。」




そう言って翔くんは
私の頭を撫でてくれた。





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