向日葵の種


スクッ、と勢いよく腰を上げる。
一瞬、込み上げた怒り。
感情が張り上げた声と化して、表へ出てしまった。


「ご、ごめんなさい……」

顔を上げた彼女は涙の色を浮かべている。
シュンッと黙ってしまった。


「とにかく……明日は帰りなさい」


そう言い捨てると、和室の襖をピシャンッと閉めた。
< 62 / 214 >

この作品をシェア

pagetop