ふぞろいな三角たち
それから先輩は、とても楽しそうに私たちの間で歩きながら、いろんなことを聞いてきた。


そういえば、樹とは委員会で一緒だったことがあったんだとか。
樹も先輩も、学級委員だったことがあったからね。


その縁もあって、たまに学校ですれ違うことがあったりすると、ちょこっとおしゃべりしたりしてたんだって。



でもやっぱ羨ましいな。

樹はいつでも、すぐに人の心の溶け込んで、誰とでも仲良くなっちゃう。

私も少しはそういうところがあれば、男子ともっと自然におしゃべりとかできるのに。





だから私はこのとき、ずっと二人の話しているのを聞いているだけだった。








学校の最寄り駅に着いたとき、先輩は何か思い出したように立ち止まった。



「そういえば二人、いつもこの路線使って通学してるんだよね?
今朝方一緒にいるところ見かけたよ。仲良しなんだなぁ、羨ましい。」



そして、何かたくらんだように笑いながら続ける



「二人は付き合ってるの?

それとも、ただの幼馴染?」










「そんなの・・・「まだ付き合ってるわけじゃないですよ!?」



私の言葉にかぶせるように、樹はちょっとテレながらそんな風に言った。


ちゅーか、何で頬を染めてんのかなー?

勘違いされちゃうじゃん!



「いやいや、ただの幼馴染でしょうよ!?」

思いっきり力強く、否定してしまう私。



だってさ、樹は誰にでも優しいし、こんな男みたいな私にも、ちゃんとレディとして扱ってくれるけど、いくらなんでもそこまでは思ってないでしょ?


それに、小さい頃から兄弟みたいにして育ってきた私たちにとって、付き合うとかそういうのありえないからね。






「そうか、ちょっと安心したかも?」





先輩は、私ににっこりと王子様のように微笑んで、今まで聴いたことのないような言葉を発した。


一生聞く事のないと思っていた言葉。


わたしの人生では、ありえないと思っていた言葉を。


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