鬼殺し
――――フラッシュバックが終わると、仁史は息をきらせて視線を左に向けた。

なんとなく予想していた。その死体がそこに転がっているのを。


……顔面がぱっくりと割れている警察官の死体が一つ。

しかし、もう一つの死体は見たことを後悔した。
冬耶が見るなと言っていた意味がわかった。

白いシャツに赤い染みを広げ、見開いた眼を天井に向けたまま固まっている。

仁史のよく知る女性、クラスメイトであり、元恋人だった涼子だ。
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