傍観者
Le commencement
 



例えばです。分かりやすく説明したいので、ほら、思い出してください。自分の過去、小さい頃を。いえ、小さい頃に限らず、ありませんでしたか?虐め。得に虐めに限ったことではありませんが、ごく身近に存在するもので説明したいもので、そう、思い出してください。此処に三人の人間がいます。仮にそれを、Aさん、Bさん、Cさんとしましょう。AさんはBさんを虐めます。罵声を飛ばし、暴力をふるいます。泣き崩れ、その場へしゃがみ込んでしまったBさんを見下し、嘲笑います。この場合、Aさんは加害者、そしてBさんは被害者となります。まぁ、この二人にもいろいろとあったのかもしれません。もしかすると本当はBさんが加害者だったのかもしれません。とりあえず、此処ではAさんが加害者でBさんを被害者とします。残るCさん。さあ、Cさんは、何でしょうか?虐めが発生したときに、必ず一人は居るであろう人間。罵声を飛ばすこともせず、暴力もふるうこともせず、罵声を飛ばされることもなく、暴力をふるわれることもない。ただ、見ているだけの人物。人によれば、その現場を見てほくそ笑み、ただ静かにその状況を楽しむ人物。または、心を痛めつつも、自分可愛さに何もできずにいる人物。どちらにせよ、加害者にとっては空気のようなもので、被害者からしてみれば加害者と同じく憎むべき存在。自分を見捨てた、冷血人間。


分かりましたか?Cさんは



何もしません。
手を貸しません。
ただ、見ているだけです。
そして、その状況を楽しんでいる方の最低な人間です。
Cさんの言い訳はいつもこうです。
「私には関係ありません。」
正論です。
確かに、Cさんには関係ありません。
道徳的にどうなのかといわれれば、確かに問題はあるかもしれませんが。
AさんがBさんを虐めることに、Cさんは何の関係もないのです。


そうです。
Cさんは、傍観者、です。















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