消えた写真


涙で濡れた眼球をゆっくりと机に向けると



本当に何もなかった。







「千里どうしたの?」


「…ごめん。なん、か、疲れちゃってるみたい…本当にごめん…」


「…今日は帰って寝な。凄く顔色が悪い」


「……そうする」




私は逃げるように学校を後にした。



眠れば何も見なくて済む。


きっと疲れているだけ。


何も怖い事なんてない。




そう自分に言い聞かせながら帰路を走り、急いでベッドへと逃げ込んだ。




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