病茸【短編】
「おかあさーん!」

私は急いで階下にいる母を呼んだ。

「ちょっときて!なんか変なの!!」

母の返事はない。

「どうした?」

隣の部屋の祖母が部屋から顔を出した。

祖母はボケていて、一日中うちから出ない。

今こうして私に話しかけていても視線が定まらずにあらぬ方向を向いている。

少し頼りないが、私は祖母に事情を話して頭の後ろを見てもらう事にした。



「ああ、これは病茸(ヤマイダケ)やな」

祖母はそういって私の髪をぐしゃぐしゃと掻き分けた。
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