秋桜が散る前に

教会の前で




いつもの帰り道、私はいつも通り教会にむかう。



バイトのシフトまでの数時間、教会で歌を歌ったりして時間を潰すのが日課となっていた。


あれから、もう半年が経とうとしている、春。


そこそこの成績だった私は、そこそこの公立高校に自費で進学した。


お母さんは、自分の経営している私立のキリスト教女子高校に進学させたがったけど、やめた。



ちょっとでも成瀬川から遠ざかりたかったから、やめといた。




「牧師さん。また、来ちゃいました。」




私は教会の大きな扉をあけながら、いつもの様に牧師さんに話しかけた。



牧師さんはいつもの穏やかな表情で私を迎える。




「やぁ咲夢ちゃん、ようこそ。今日は何歌う?」

「『賜物』がいい。」




今日は、というより、いつもそうなのだけれど。


牧師さんはなにも言わずにパイプオルガンで伴奏を弾いてくれる。




「―…きみのたましいと
わかいちからを

かみのみなのため

つよくもちいよ

みこはさきだちて


すすみゆかれる

きみのたつことを

まっておられる…―」







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