大切な人を失った時、あなたならどうしますか?
遺体安置室に入ると
そこには変わり果てた
道子がいた
係の人が顔にかけられた
白い布を両手でゆっくりと
はずした
隆司は一瞬目をふせたが
しずかに目をあけた
ひどい損傷で
まともに見るのは苦しかった
「奥さんに間違いないですか?
こちらが助手席に
置いてあったものです」
黒の本皮のバックだった
誕生日に誰もお祝い
してくれなかったことを
ずいぶん怒って
自分で買ってきたと言っていた・・
そのバックだった
悲しみが一気にこみ上げてきた
「道子・・」
隆司はベッドの横に
泣き崩れた