大切な人を失った時、あなたならどうしますか?
「最近、私、更年期なのかなあ?
階段を上がる時
なんかしんどいのよね~
洗濯物を2階に持っていくの
お父さん手伝ってくれない?」
洗濯かごをよいしょと持ち上げ
ゆっくり階段をあがる
道子のうしろ姿は
今、思えば、
確かに疲れた様子だった
どこが痛いとかつらいとか
数え切れないくらい
聞いてきたような気がする
そのたびに
「俺だってしんどいけど
仕事に行ってるんだよ」
そうつぶやいて
道子のことなど
たいして心配しなかった
「道子ごめん」
隆司はハンドルを握る手で
何度も何度も
涙をぬぐった
悔いても悔いても
悔やみきれなかった