【花集】水たまりに映る花火
ジジジジジジジジ・・・・・・


大きな丸い玉が出来る。


「落とすなよ・・・・・・」


奏大君がジッと食い入るように、私の線香花火を見つめる。


あまりにも真剣に見てたから、絶対に落とせないような気がして、私の手にじんわりと汗が滲んだ。





・・・・・・パチッパチパチパチ






しばらくすると、火花が四方八方に美しく飛び散った。


「やっぱり!!」


「ぅっわあ!」






ジュッ・・・・・・





線香花火が水たまりの中に、切ない声をあげて落ちていった。


「あーあ・・・・・・」


「奏大君が突然大きな声出すからだもん」


「・・・・・・ごめん」


奏大君は右手に握っていた線香花火を、もう一度私に手渡した。


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