愛音-あいおと・短編
早紀の告白から数日、良平はなんとなく1日1日をやり過ごしていた。

あれ以来、早紀からも一向に連絡はなかった。

「ああ、今日も終わった。」

深い落胆と共に良平は家路についた。あれ以来、長電話を控え、連絡を待っていた。早紀からの連絡を・・。

いつものコンビニでいつもの弁当、いつもの飲み物を買い、いつもの道をダラダラ歩き、そして、いつものように安アパートの鍵を開ける、

っう、あれ、いつもと違う、鍵が開いている。・・・えっ!

良平は恐る恐る部屋の中を覗いた。

「おかえりー。」
「早紀!」

部屋の中にはいくつかのダンボールと満面の笑みを浮かべた早紀がいた。

「な何でいるんだ?あ!」

「まあまあ、いいからいいから、早く入って、ご飯作って置いたよ。どうぞどうぞ。」

良平は何故か自分の部屋をキョロキョロしながら恐る恐る入った。

「何にも無いから、たいしたもの出来なかったんだけど、どうぞ野菜炒め!」

早紀は変わらずハイテンションに答えた。

部屋の中は早紀が持ち込んだダンボール以外は綺麗に整頓されていた。机の上にはホカホカの野菜炒めがのっていた。

「えっ!どうやって入ったんだ???」

早紀は変わらず、微笑みながらご飯の前に座っていた。

「おい!黙ってないで何とか言えよ。」

良平が怒るには訳があった。本当ならこの部屋には今の良平の彼女がいるはずだったからだ。
< 5 / 13 >

この作品をシェア

pagetop