Genius~守り人~
少女はまた目を閉じる。


ブ-ッ ブ-ッ ブ-ッ


静かだった空気を震わせる音。


彼女は起き上がると傍らの小さな机の上のトランシーバーを手に取った。


「はい、來です。」


マイクに口を近づけ返事をする。


[起きたか。御前様がお呼びだ。30分後第1ビルへ来い。]

若い男の声


來が「はい」と答えるか答えないかの内に男からの通信は切られた。


―御前の呼び出し…久しいな……




御前は哀哭溜を束ねるこの組織の長


暗い「御前の間」にいる。


いつも長いローブを纏い深くフードを被っているため殆どの人は御前の顔を見たことはない。





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