キミ色ヘブン
あの自画像はもう戻ってこない。

でもあの絵を描いたのは私。

だったら……

あの絵を越えられるのも私ってことにならないのかなぁ。

世の中ってそんなに甘くないと思う?

私ってご都合主義だと思う?

前みたいに振り返ってもキミはそこに居ない。

制服、これでもかって程着崩して、

見かけとまるっきり似合わない本を抱えて、時にはそれを枕にして、

半目開いて寝ていたあの愛しい顔はもうそこにない。

キミに逢いたい──

窓の外からは笛の音、ランニングの音、たまに飛び交う罵声。

それでも

そこには『青春』がいっぱい詰まっていた。
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