恋、涙 …【2】〜私とあなたと小さな天使〜
○第1章○




「…んん〜」



「かーくん…起きて!ほら…学校遅刻しちゃうよ?」






ある日の朝─



私の目の前には、何回起こしても全く起きようとしない、元私の日本史の授業担当の先生、杉田 一真【スギタ カズマ】がいた。



初めに見た時は本当に信じられなかったけど、今はもうすっかり慣れた。



あ…
私は篠原…じゃなくて、杉田 希【スギタ ノゾミ】。



寝起きがとてつもなく悪いこの人の…奥さん、です。



「もう…茉央【マオ】だってとっくに起きてるよ?かーくんってば!!!」



私は痺れを切らして、布団を勢いよく捲った。



それでもまだ起きないかーくんに一旦背を向けて、最終兵器を持ってくる。



「茉央〜?ママ向こう行かなきゃいけないから、パパ起こしてくれる〜?」



ベッドで寝ているかーくんの隣に私たちの愛する息子、杉田 茉央【スギタ マオ】を置いて、朝ご飯の準備をする為にキッチンへと歩いて行った。



若干2歳の我が息子。
私の言った言葉の意味は、恐らくわかっていない。



けれど、今までの特訓で『パパを起こす』と言うと、すぐにわかってくれる。










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