噂話症候群 【 例えばこんな出来事 】
――数日後



「ねぇ、千佳ちゃんってこの前火事で亡くなったでしょ?……あんまり大きな声で言えないんだけど『ピンク叔母さん』の仕業らしいよ」



「何?その『ピンク叔母さん』って」


「何か、聞いた話だと夕闇通りにずっと座ってて、目が合うと家まで着いてきて殺しちゃうんだって!」


「えぇ、うそでしょ?」



「本当だって!『ピンク叔母さん』の事を夕闇通りで見たって人、結構いるよ~!」



「マジで?超怖いじゃん!?」



「何か、変な唄もあるってさ!唄うと姿を見せるみたいな?…あれ、何だっけな?」



「え~もしかしてただの噂でしょ?」



「違う、マジであたしは、唄も聞いたの!う~んと…確か…」


♪夕闇通りに現れる

桃色の服を身にまとい

いつも地べたで人探し

「あっ!?そう、そう!……あれ、蛍ちゃん…この唄を知ってるの?」



「うん、噂で聞いた事があるよ…クスクス…でも、ただの噂だよ」


「ほ~ら、蛍ちゃんだって言ってるよ!やっぱりただの噂じゃん!」


「え~!でも~!」



――そう 全ては


ただの噂でございます


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