君が見た空
夏休み


オレはその日
初めて声を掛けた。



「どんな写真撮ってるの?良かったら…
見せてくれない?」



カノジョは微笑み



「命あるもの全て…かな」
とカメラを差し出した





象が水浴びをしている瞬間


イルカと調教師



ソフトクリームをほおばる子供



花の蜜を吸う蝶々



一面に広がる向日葵畑



ベンチに寄り添う老夫婦




「あれ?
これも命あるもの?」




何枚もの青空の写真




「これは、ワタシが見た空」


「なるほど!
確かに命あるものだね」




穏やかな時の流れ
マイペースな仕草

眩しい程の笑顔



それを遮る、練習再開の笛

「ありがとう。
また見せてよ!!!」



オレは
ドリブルしながら コートへ走り

キミも
自分だけの世界へ戻った。


< 1 / 3 >

この作品のキーワード

この作品をシェア

pagetop