亮平のおもちゃ
保健室のおもちゃ
 1話 俺は玩具


 「早く出て行きなさいね~。」

ある日の放課後、俺の恋人は、不機嫌だった。

「…なんでだよ?」

俺はわざと、火に油を注いでみた。
すると案の定、恋人は俺の欲していた顔をした。
俺は、こいつの睨み顔が大好きだ。
明らかに不機嫌まるだしで、すごく可愛い。

「喋らないでって、僕、言いましたよね?」

しかし、いつもの“先生モード”に俺は肩を落とす。

「だって、女子のこと苦手だしぃ…。それに、亮平だって…、新見と話してた…」

「こらッ!新見先生、ですよ?先生をよびすてにしない!僕のことも、原田先生と呼びなさい。何度言えば分かるんだ、君は。」

「………もぉ良いよ!」

 俺は走って帰った。ムカツク、ムカツク。俺の事をガキ扱いしやがって!
男と喋るなとか、無理に決まってるじゃねーか!

「……亮平の馬鹿。もっと、優しくしてくれても良いじゃんか。付き合ってるんだし。」

そう、俺と亮平は付き合っている。もともと、俺たちはご近所さんで、俺は亮平と生まれたときから仲が良かったらしい。いつも俺は「亮ちゃん。」って、亮平にベッタリだった。
その亮平が引っ越して、ずっと会えなくて、連絡もくれなくて、なのにいきなり俺の学校の保健室の先生になりやがって。ビビったし、嬉しかった。
俺の告白に答えてくれたのも嬉しかった。幸せだった。
だけど、デートとか、ソレらしいことはしてくれないし…。
俺、恋人としてダメなのかな?

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