七つの星の落し物
そして、クリスマス・イヴの夜に限っては、母さえも家に帰って来ない。

「おもちゃの仕事をしているから、クリスマス・イヴだけはどうしても帰れないのよ・・・」

母はいつも申し訳なさそうにそう言う。


そして、手作りのクリスマス・プディングとブイヤベースをキッチンに用意して、朝早く家を出て行ってしまう。

進学校へ上がるためのナイト・スクールは全然楽しくない。

でも、この日ばかりは行っててよかったと思う。

(一人だけのクリスマス・イヴなんて、早く終わってしまえばいい。)

リゲルは心の中でそうつぶやく。


さっきから、ちらちらと、小さな雪も降り始めている。

(早く、帰らなきゃ。)

リゲルはうつむきながら、両方の手をポケットに突っ込んで足を速めた。



―― と、その時



シャラ――――ン!!
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