【COLORS②】スイカに恋したい
----------------





「はぁぁ……」

帰り道。これがため息をつかずにいられるだろうか。



『私は演劇部の部長をやってる早乙女春菜(さおとめはるな)、こっちは部員の柳凜子、よろしくね!あなたに私たち演劇部の舞台に『男役』として出てほしいの!明日また詳しい話をしましょう!放課後、部室で待ってるわ』



一方的だ、一方的すぎる……しかし、逆らうことができなかった。



「世界が終わったような顔しやがって……たかが演劇に出演するくらいで大袈裟だっての」

海は私のことを慰めてくれているらしい。

「たかが演劇……ね。海には分からないわよ!『女』の私が『男』を演じなければならない心の苦しみなんて!」

ここで彼を責めても意味がない。
そんなことは百も承知だ。

「……ごめん」

「高校生になったら女の子らしく過ごせると思ったんだけどな、やっぱり無理みたい」

こんなことで断念したくなかった。だけど、部長に反発できるとは思えないし、今日のこともきっとみんなに広まる。だったら一層のこと……

「──なつ、俺も出るよ」

「!!?」

「実はさっきあの部長さんにこっそり言われたんだ、『あなたも女役でどう?』って!一緒にやろうぜ!演劇!!」

私の一言で海にそう決断させてしまったのなら、今更、『出演したくない』とは言えなくなっていた。
< 16 / 27 >

この作品のキーワード

この作品をシェア

pagetop