???
「ヨッタ何かおかしいよ。」
 ポゴが耳元で囁く

「何が?」

「この人達だよ。」
 そのポゴの言葉に、ヨッタは住人達を見回した。だが特に気付く点は見当たらない

「別に変わった所は無いだろ。」

「帽子だよ。夜なのに、帽子かぶっている人、多くないかい。」
 再び住人達を見回すヨッタ。確かに半分程が帽子をかぶっている

「…まさか!」
 ヨッタは初老の男に視線を向けた。
「すみません。」
 言って、初老の男の野球帽を外した。

「うおっ!何するんだ、君は!」
 咄嗟の事にたじろぐ男。

 その頭はツルツルだった

「…すみませんでした。ところであなた、彼女の前で帽子を取って、その頭見せました?」
 ヨッタは再び男に訊ねた。

「ああ、この子がここにいるの知らないでね、つい帽子を外しちゃったんだよ。」

 やはりそうだった。ヨッタ達の不安は的中した

 さらにその後、その不安は益々拍車(はくしゃ)をかける事となる。

「“磯野さん”、どうしたんだい、その頭!」
 集まった住人の一人が言った。

「さ…“さくらさん”!違うんだよ、この頭は、」

 どうやら知人らしい

「いいんだよ。隠さなくても“仲間同士”なんだから。」
 言ってさくらと呼ばれた男も帽子を取る。こちらもツルツルだった。

「じ…実は私も。」
 また一人の男が帽子をとる

「か…“亀仙さん”、あなたまで!あなたも、あのあざらしに?」

「金も数百万、持っていかれまして、警察に通報しようかとも思いましたが、頭がおかしいと思われるのが関の山だろうし、何よりこの頭じゃね…」

「隣の部屋の“子泣きさん”も、やられたっていってましたよ。」

「そう言えば、あのあざらし共、三〜四匹、列組んで16号の方に歩いていきやがったぞ。」

 次々とハゲが増えていく。皆、あのザーラ星人の被害者だった。
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