僕等は、それを恋と呼んだ。

好きだった人




「久しぶりだな」


そう言った先輩の声が、懐かしい。


「…だね。何で、こんな時間に?」

「図書室で勉強してた。俺、受験生だし」


まさか、先輩に会うなんて想像していなかった。


…いや、同じ学校なんだから、会うこともありえるんだけど…。



「…そっか。頑張ってね、受験」

「おう」



そう言って、先輩は笑う。


…変わってないな、その笑顔…。


あたしの……大好きだった笑顔。



「…彼氏?」


チラッと笈原を見て、先輩は言う。


「…あ、うん」

「そっか。……良かった」

「うん…」

「じゃあ、またな」



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