ナンセンス!

3

大男は、股間を押さえたまま、踊り場に倒れ込んだ。
「 ・・・お見事! 会頭! 居合切りのようですな! さすがです 」
マサが言った。
美化すんな。 金的を狙っただけじゃんか。 まあ、この手しか、僕的には思い付かんわ。
「 女の部屋へ、行くぞ! 」
僕は、階段を駆け上がった。

・・・エレベーターを使えば良かった。
超、しんどい。 息切れがするわ! 日頃の運動不足がたたり、5階に着いた時には、
僕は疲労困憊になった。
面倒くせえェ~! もう、はよ終わらせようぜ・・・! 端から2つ目の部屋、と・・ ココか・・・!
ドアノブを回したが、カギが掛かっている。
「 ・・・お任せを 」
マサが、細い針金のようなものを出し、鍵穴に差し込む。
手馴れた手つき。 ものの数秒で、ドアは開錠された。 ・・・お前、ドコでそんな技術、覚えた?
まあいい、さっさとヤルぞ!
疲労感があり、面倒くさくなって来た僕は、もうどうでも良くなった。 恐怖感など、全く無い。 鉄パイプを持っているせいだろうか? 暴走バイクの後部座席で、似たようなものを振り回し、我が物顔をしている連中の気持ちが、今や、大変素直に理解出来る。 ナンでも来いや、という気分だ。
僕はドアを開け、鉄パイプを肩に担ぎながら、室内に踏み込んだ。
「 はいよ、ゴメンなさいよぉ~ 」
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