ナンセンス!
ヤドカリ

1

危機は、去った。

武蔵野明陵 鬼龍会は、その存在を確固たるものにし、近隣の不良グループは元より、
各校の一般生徒たちにまで、その名声は広がった。
「 あの、仙道寺の解散には、やはり、星野が絡んでいたそうだぞ・・・! 」
広がったウワサにより、別名『 鉄パイプの星野 』の称号は、揺るがないものとなった。 それに伴い、仙道寺の新総長 かすみの名も、鮮烈にヤンキー人気ランキングの上位を駆け上がって行った。 今や、時の人である。
星野と僕( かすみ )が街を歩いていると、振り返る者が、かなりいる。
「 見ろ、見ろ・・! 星野だ・・・! 」
「 一緒に歩いてンのは、仙道寺の新総長、星川 かすみだ・・・! 」
「 あれが、そうなのか・・・! 」
中には、サインや握手を求めて来る者まで出て来た。 ここまで来ると異常だ。
特に、かすみは、女生徒にも人気があった。
「 かすみ様ぁ~! 」
「 カワイイ~っ! 一緒に写真撮らせてェ~っ! 」
カメラ付き携帯を持った、グルービーな連中が殺到する。
ええい、君たち。 じゃれつくんじゃないっ! 肖像権は、コッチにあるんだぞ!
・・・しかし、まあ、平和なのは良い事だ。
後は、元に戻るだけである。
そこが一番、不安でもあるが・・・?
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