ナンセンス!
奮闘! 美津子先生

1

「 ねえ、名刺持ってます? あたし、名刺集めてるの。 ください! 」
ファミレス店内の席に付いた男に、かすみは言った。
怪訝そうな顔をしながらも、男は、スーツの上着の内ポケットから名刺入れを出すと、その中から一枚を取り出し、かすみに渡す。
かすみは、僕からも見えるように、その名刺をテーブルの上に置いた。
さすが、かすみだ。 これで、この男の名前が判明した。
何々・・・?
名刺には、菱井商事 営業一課 主任、保科 祥一とある。
・・・一流企業だ。 末は、課長か部長か? いずれにせよ、現在の年収は、6百万を軽く超えているだろう。 美津子先生、玉の輿じゃん・・・!
僕は尋ねた。
「 祥一・・ さん? どうしたの? 今日は 」
祥一は、ウエイトレスが持って来たグラスの水を、一口飲むと言った。
「 ・・・母さんに、美津子さんの事を話したんだ・・・ 」
「 あたしのコト? 」
「 うん・・・ 真剣にお付き合いしている人が、いるって 」
・・・どうやら、反対されたな? この男・・・
「 それで? 」
祥一は、小さくため息をつくと言った。
「 どうせ、ウチの財産目当てだろう? ってさ・・・ 」
この、祥一と言う男の家は、資産家なのだろう。
母親に反対されたのか・・・ 美津子先生、可哀想だな・・・
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