ナンセンス!

1

その時、ドアが開き、男子部員が部屋に入って来て、芹沢に耳打ちした。
芹沢は一瞬、驚きの表情を見せると、僕に向かって言った。
「 会頭。 局員が、付近をうろついていた、不審者を捕縛したようです・・・! 」
勝手に、とっ捕まえるなよ、君ら。 逮捕権、持ってるの?
マサは、一瞬、僕の方をうかがったが、やがて芹沢に言った。
「 ・・連れて来い 」
みんな、手荒なコトはヤメようね・・・?
特に、マサ君。 ニタリ、ニタリするの、やめようよ・・・
ほら、龍二君も怖い顔して考え込まないで。 フレンドリーよ、フレンドリー・・・ ねっ?
・・・二見ちゃんも、親のカタキに会ったような、殺意的な表情、いけないよ? 清楚な顔立ちが、台無しじゃないか。
朝倉ちゃん・・・ 全く無表情で、何やらメモるのも、人情味が無いよ・・・?

やがて、両腕を後ろ手に縛られた一人の男子生徒が、芹沢と、もう一人の女生徒に連れられ、皆の前に引き出されて来た。 武蔵野の制服を着ている。 特に髪を染めているわけでもなく、いたって普通の生徒である。 彼の、どこが怪しく思われたのだろう?
芹沢が、言った。
「 校章と、クラス章を着けていません。 局員が、任意に事情徴収したところ、申請した名前がクラス名簿に存在せず、当校の生徒では無い事が判明致しました 」
朝倉が言った。
「 随分と、おマヌケな、スパイさんね・・・ 偽名フォローのツールも、実在生徒の調査もせずに潜入しようとしたの? ウチも、ナメられたものね・・・ あなた、名前は? 学校は、どこ? 」
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