ナンセンス!

2

母は、テーブルの上に、新聞を広げて読んでいる。
テレビは、朝のニュースをやっていた。 いつも僕が座る場所に、味噌汁と、ご飯が用意
してある。
僕は、スタスタとテーブルに行くと、いつものように、フツーに座った。
「 今日は、やけにゆっくりじゃん? 早く食べて、学校行きな 」
チラッと、僕を見た母は、そう言うと、また新聞を読み始めた。
気付かなかったのか・・・?
僕は、お椀を持ち、味噌汁を一口すすると、言った。
「 なあ・・・ 今日は、ナンか、体の調子が悪いんだよね 」
母は、新聞を一ページめくり、僕を見ると言った。
「 あんた、先週、終わったばかりだろ? 」
・・・ナニを言っとるんだ? この母は。 いい加減、気が付かんか。
母は、続ける。
「 それと、あんまし物騒な連中とは、関わるんじゃないよ? 風紀向上だか、ナンだか知らないけど・・・ いつも迎えに来るヤツ。 ありゃ、まんまヤーさんじゃないか。 とてもじゃないけど、高校生にゃ、見えんね 」
あの~・・ 母上? あんた、なに言ってんの?
僕は、ワケが分からなくなり、味噌汁のお椀を持ったまま、固まっていた。
更に、母は言った。
「 みちる。 あんた、また夜更かししたでしょ? 目の下にクマが出来てる。 ダメだよ? 夜更かしは、肌の大敵なんだからね? 若いうちに節操のない事してると、歳とった時に、影響が現れるんだからね・・! 」
母は、完全に僕を見ながら言っている。 しかも、女性としての助言付き。 ど~ゆ~コト? 僕は、最初から女性だった、てコトか?
そんなバカな・・・!
じゃ、僕の・・ 男としての、この記憶は、何だ?
母は、言った。
「 早く、食っちまいなって! アイツを、家の前に待たしておくんじゃないよ? 着替えたら、玄関のトコにいて、ヤツが来たら、さっさと行きな。 ったく・・ ご近所が怯えるだろ? 」
そんな狂犬のような友人は、いないぞ、おい。 誰の事だ?

とりあえず、朝食を済ませ、いつものように着替えをする為に、僕は、自分の部屋へ
戻った。
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