ナンセンス!

2

海南との決闘の話しは、学校中に広がっていた。
昼放課には、友好関係にある桜ヶ丘高校と陽南高校の代表が、わざわざ部室に挨拶に来た。 ・・・君たち、午後からの授業は、どうするのかな?
「 星川会頭! お久し振りです。 陽南の藤川です! 」
グレーのブレザーを着た、茶髪の男だ。 イケ面っぽいツラをしており、夜の歌舞伎町辺りで黒服を着てそうな男である。
初対面だが、何とか対応しなくてはならない。
僕は言った。
「 久し振りだな、藤田 」
「 藤川っす 」
「 おう、すまん。 元気してたかい? 」
「 おかげさまで。 今日は、阿南とタイマンっすか? かったり~っスねえ~ 」
そんな事はない。 今から既に、心臓バクバクもんだぞ。 代わるか? お前。
いかにも軽薄な、軽そ~な表情で、藤川は続けた。
「 海南なんて、メじゃないっすよ、マジで。 ついでに仙道寺の神岡も、取ったって下さいよ、ねえ? 」
ナンパするみたいに、軽く流して言ってんじゃねえよ、お前。 何で、こんな軽薄な連中を守らにゃならんのだ?
藤川は、制服の内ポケットから厚い封筒を出すと、それを僕に渡しながら、小さく言った。
「 ・・今月の分は、これに・・・ いつも通り、鬼龍会の活動費に当てて下さい・・・ 」
なるほど、そういうワケか。
まあ、こちらから請求しているワケでは無さそうだ。
傍らにいた龍二が、鋭い視線で、チラッと封筒を見る。 さすが幹事長だ。
僕は、すっと、その封筒を龍二に渡すと、龍二は、小さく頷きながら封筒を受け取り、奥の視聴覚室へと姿を消して行った。
あの顔で、カーテンを締め切った部室にて、金を数えている情景も、ひたすらブキミである・・・
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