日本爆発
腕の時計は5時を指している。
仕事も終わり帰れる時間だ。
とても大きい自動ドアを抜けた直後に同じ部署の上司に話しかけられた。
「おい佐藤。今日飲みに行かないか?」
この人は人柄もよくみんなに好かれている上司だった。
実際俺もこの人が上司で良かったと安心している。
「はい!!よろこんで」
「今日の所は俺がよくいくとこなんだ。うまいぞー」
「今田さん。俺も連れて行ってください」
後ろから奥野孝太が声をかけてきた。
奥野は積極的というかでしゃばりというか何かあったらいつも入ってくる。
そのことで時々面倒なこともあるのだが奥野も人柄が良い為許されている。
俺と奥野は同じ時期に入社したので俺たちは仲間と思っている。
「お前もか。よし、じゃあいくぞ」

会社から歩いて10分の所に今田さんの言う居酒屋はあった。
「おーす。きてやったぞ」
今田さんが入ると店員がこちらに来て笑いながら喋った。
「まいどありがとうございます。今日は3名ですか?こちらへどうぞ」
俺たちが案内されたのは店の奥の方のテーブル席だった。
「さぁーお前たち。いっぱい飲めよ」
「今日は今田さんのおごりですかー?」
「そんな訳ないだろう。甘えるんじゃない」
二人が楽しく話して盛り上がっていたが俺はある人物に気がいってしまった。
カウンター席の一番端で静かに酒を飲んでいる男。
歳は多分同じくらいだろう。
「佐藤?どうしたんだ。なにか注文しろよ」
今田さんに声をかけられて一瞬我を取り戻した。
「あっはい。じゃあ、生中一つで」
「かしこまりました」
その後もずっと俺はその男の方をじっとみていた。
なにかみたことがある感じ…誰だったか思い出せない。

しばらくすると男が振り返りこっちを見た。
一瞬驚いた顔に見えたがすぐに笑顔を返してきた。

その笑い方を見て思い出した。
あれは…
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