鬼守の巫女
第十三章 土の少年

茶色の髪に高い身長。

スラッと長い手足のその男は、黒い制服に身を包んでいる。

「……土室さん」

そう彼の名を呼ぶと、彼は優しい笑みを浮かべて私に手を差し伸べた。

「さぁ、こんな汚らわしい場所から早く出ましょう。……凪様」

そう言って彼はおぞましいモノを見る様な眼で、父を睨んだ。

「火伏家は代々お人好しが過ぎる様だな。こんな裏切り者にさえ情をかけられるなんて。……なぁ、捺?」

「……っ」

土室さんはクスクスと笑いながら、地面に這い蹲る火伏さんを見つめた。

スーツ姿の男達が数人、火伏さんを冷たい床に押さえつけている。
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