鬼守の巫女

「アイツ等も大事になるのはよしとしない。大通りまで出れば何とかなる」

隣を走る男は豪く冷静にそう言うと、走る足は止めないまま静かに私を見つめた。

「お前は……俺の『真名』が分かるか?」

「……まな?」

男の問いに小脇に抱えられたまま首を傾げると、男は小さく頷いて見せる。

「本当の《名》の事だ」

そう男が呟いたその瞬間……眩しい光の中に勢いよく飛び出した。
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