恋の旋律



♪空人♪



ダダダッ!


思わず駆け出してしまった。


あの場に居たら、泣いちまいそうだったから。



(あーぁ!!)


壁にもたれ掛かり、込み上げてくるアツいモノをグッと堪えるため、上を向いた。



「はぁっ…」



俺はダメな奴だ。



自分の気持ちを心に無理矢理突っ込んだ。


でも入りきらないこの気持ち...。



だって広季まで田渕を好きなんてさ~…。



他の奴なら正々堂々とライバル宣言出来たのによ~。


よりによって、広季なんて…。



これじゃ応援するしかないし…。




まぁでも広季と田渕がくっつけば俺の田渕への気持ちも、きっといつか消えるだろうし…。



ツウッと頬を伝った一筋の涙を俺は拭って、教室へ戻った。



でもそこは俺にとって居心地の悪い雰囲気になっていた。




< 36 / 121 >

この作品のキーワード

この作品をシェア

pagetop