夜空に咲く僕たちの願い


怖いものがない無敵のヒーローで。
今のシーンは敵に囚われたお姫様を救うシーン。
そう考えたらますます走るのが速くなる。



校門を出て駅に繋がる道を駆け抜ける。

その間、ずっと瑠花と手を繋いだまま。
ぎゅっと瑠花の手を握るとそれに返してくれたような錯覚になった。
出来ることならずっと握っていたかった。




「おい!俊介!お前どこまで行くんだよ!!」




ずっと握っていたいと強く願っただろうか。
渓斗の声にハッと現実に戻る。なぜならば俺は駅を通り過ぎようとしていたからだ。
急に立ち止まると瑠花が俺の背中にぶつかり「痛い」と声を漏らした。



「…ごめん」



「もーいきなり何よ!何で走るの?息切れるでしょ。ってもう切れてるわよ」




呼吸を整える瑠花。



キミは繋がる手に何も思わないの?



「離して」って言うまで離さないからね。




< 134 / 406 >

この作品のキーワード

この作品をシェア

pagetop