白球追いかけて
 長い箱の中には、クッキーがあるわけでもなく、パウダーがまぶしてある丸いトリュフが転がっているわけでもなく、豪華なチョコロールが入っていた。表面にはチョコレートで『バレンタインでぃ(^^)V』の文字が書かれている。
「これ手作り?」
「うん。買ったロールに生クリームとココアを混ぜたのを塗っただけやけどな」
「ありがとう。メッチャうれしいわ」
「でも義理やからな」
 ヨシナがずばりとくる。しかし、このセリフ、ケメじゃなくてよかったって、正直そう思った。
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